予防接種とは
予防接種とはワクチン接種のことで、特定の感染症に罹患しにくくする、あるいは感染しても重症化するリスクを低減するために行われるものです。
使用するワクチンは、ウイルスや細菌などの病原体の病原性を無力化、あるいは極力弱めたものです。
これを体内に接種していくことで、実際にその病気にかからなくても免疫がつくようになります。
その後、同様の病原体が体内に侵入し、感染したとしても発症しにくい、発症しても軽度で済むようになります。
当院で対応可能な
予防接種について
当院では10月2日より、インフルエンザワクチンの接種を開始(予約制)します。
今年は、従来の注射による不活化ワクチンに加え、新しく鼻からスプレーするタイプの「フルミスト」を導入しました。このページでは、それぞれのワクチンの特徴と当院での接種についてご説明します。
従来のインフルエンザワクチン(注射)
現在、日本で広く使用されているインフルエンザワクチンは、ウイルスを不活化(感染しない状態に)して作ったワクチンです。当院で接種する場合の金額は、4,000円/回となります。
世田谷区在住の15歳までの方は助成対象(2026/1/31まで)となりますので、窓口負担額は2,000円/回です。また、行政から発行された高齢者インフルエンザの予診票を持参された方に関しましては、2,500円で接種が可能です。
特徴
- 接種方法
- 上腕の皮下に注射します。
- 接種回数
- 原則、13歳未満は2回接種、14歳以上は1回接種となります。
- 接種対象
- 生後6ヶ月から高齢者まで、幅広い年齢層に接種可能です。当院では、3歳以上とさせていただきます。
- 効果の仕組み
- 接種された不活化ウイルスに対し、体内でIgG抗体が誘導され、感染や重症化を防ぐ効果を発揮します。
- 安全性
- ウイルスそのものの感染力はないため、ワクチンが原因でインフルエンザを発症することはありません。
- 注意点
- 注射のため、痛みや腫れが生じることがあります。
フルミスト(経鼻生ワクチン)
フルミストは、生きたインフルエンザウイルスを弱毒化して作られた生ワクチンです。鼻からスプレーすることで、自然な感染に近い形で免疫を獲得します。
当院で接種する場合、金額は8,000円となります。世田谷区在住の2歳から15歳までの方は助成対象(2026/1/31まで)となりますので、窓口負担額は4,000円です。
特徴
- 接種方法
- 腕への注射ではなく、両方の鼻の穴にスプレーします。注射が苦手なお子さんにも負担が少ないのがメリットです。
- 接種回数
- 1回接種となります。
- 接種対象
- 2歳から18歳までのお子さんが対象です。
- 効果の仕組み
- 自然感染を模倣することで、血液中のIgG抗体の誘導だけでなく、上気道粘膜上の分泌型IgA抗体の誘導が期待できます。この粘膜免疫が、インフルエンザの侵入を初期段階でブロックする働きが期待されています。
- 注意点
-
- ごく稀に、副反応として鼻水、鼻づまり、喉の痛み、発熱などがみられることがあります。
- 一定の期間は、インフルエンザ迅速検査で陽性が出る可能性があります。
- 経鼻接種のため、他ワクチンとの期間制限は原則ございませんが、小児科担当医の指示に従ってください。
- 免疫抑制状態にある方、重症喘息の方、特定の慢性疾患をお持ちのお子さんなど、接種できない場合があります。詳細は診察時に医師にご相談ください。
どちらのワクチンを選ぶべき?
- 注射が苦手なお子さんや、より高い効果を期待したい場合は、フルミストが適しているかもしれません。
- 2歳未満のお子さん、18歳以上の方、重症喘息やステロイド内服中の慢性疾患をお持ちのお子さん、ゼラチンアレルギーのある方、妊娠している方は、従来の注射ワクチンの接種となります。
当院は耳鼻咽喉科ですので、お子さんの鼻や喉の状態を確認し、必要に応じて鼻処置を行いながら、安心してワクチン接種を受けていただけるよう配慮いたします。
インフルエンザの流行に備え、ぜひご家族で接種をご検討ください。インフルエンザワクチンの接種は予約制です。
ワクチンの数には限りがあるため、なくなり次第終了となる可能性がございます。ご承知おきください。
インフルエンザ予防投与
について
インフルエンザ予防投与のご案内
当院では、インフルエンザの感染を予防するため、適応者(以下参照)に限り抗インフルエンザ薬による予防投与(自費診療)を実施しております。
予防投与とは、インフルエンザに感染した方と接触した後、発症前に抗インフルエンザ薬を服用し、インフルエンザウイルスの増殖を抑えることで、発症しないか、発症しても軽い症状で済む可能性が高いといわれています。
費用について
インフルエンザの予防投与は、健康保険が適用されない「自費診療」となりますが、薬剤の処方にあたっては、処方希望の方ごとに必ず診察が必要となります。
| 費用の目安(合計費用10,000円前後) | |
|---|---|
| 診察料 | 3~4,000円程度 |
| 薬剤費 | 4,000円〜7,000円程度 (薬剤の種類や用量により 異なります。) |
- 上記費用はあくまで目安であり、使用する薬剤や薬価改定などにより変動する可能性があります。
対象者
予防投与の本来の目的と対象者は、インフルエンザ発症により重症化するリスクが高い方と、その方を介護・同居している方です。
- 高齢者(65歳以上)
- 慢性呼吸器疾患または慢性心疾患のある方
- 代謝性疾患のある方(糖尿病など)
- 腎機能障害のある方
受験や仕事などの理由でご希望の方へ
上記の原則的な対象者に当てはまらない場合でも、受験や出張など、絶対に休めない理由がある場合は、自己責任を原則として、医師の判断により処方可能な場合がございます。
予防の推奨タイミング
インフルエンザ患者さんとの接触後、48時間以内に服用を開始することが強く推奨されています。
48時間を過ぎてからの服用開始は、有効性を裏付けるデータが十分ではありません。
予防投与中にインフルエンザを発症した場合
予防投与を行っていても、潜伏期間などの影響で、インフルエンザを発症することがあります。
予防投与中に発熱や咳などのインフルエンザの症状が発現した場合は、速やかに当院にご連絡の上、診察(保険診療)を受けてください。
薬剤について
予防投与に使用される主な抗インフルエンザ薬は以下の通りです。薬剤の選択は、患者さんの状況やご希望に応じて医師とご相談の上決定します。
| 薬剤名 | 投与方法 | 予防投与の 期間・回数 |
院内処方費用 |
|---|---|---|---|
| イナビル | 吸入薬 | 1回の吸入投与 | 9,000円※ (10歳以上) |
| ゾフルーザ | 内服薬 | 1回の内服投与 | 9,500円※ (12歳以上) |
| タミフル | 内服薬 | 1日1回、 7~10日間の内服 |
院外処方 |
- 院内処方は在庫状況により、提供可能です。(診察料、処方料、薬剤料込)