のどについて

のどのイメージ画像

のどには、咽頭、喉頭という解剖学的に分類される2つのエリアが存在します。
咽頭は上・中・下に分けられ、下咽頭は食道上部ともつながっています。
喉頭は、いわゆる『のどぼとけ』の位置に存在し、声帯、喉頭蓋を含んでおり気管・肺へとつながっています。
すなわち、食べ物を食道や胃に送り込む役割と、呼吸器官として肺に空気を届ける役割があります。
さらに喉頭にある声帯を使うことで発声器としての役割も担っています。
そのため、ウイルスや細菌がのどに侵入してしまうと、様々な病気を引き起こしてしまうのです。
下記のような症状がみられたときは、のどに問題が起こっている可能性があるので、お早めにご受診ください。

このような症状は
ご相談ください

  • のどが痛む
  • のどが腫れている
  • のどに違和感を覚える
  • のどにつまり感がある
  • 口が乾く
  • 口臭がある
  • 咳が出る
  • 呼吸がぜいぜいする
  • 声がかすれる
  • いびきが出る など

のどの疾患

以下に簡単ですが、主なのどの各疾患についてご説明していきます。

扁桃炎・咽頭炎

高熱、寒気、頭痛、全身のだるさ、関節痛などの症状が出現し、食べ物などを飲み込むのが辛くなることもあります。
原因としては、ウイルス性が小児で40-70%、成人で20-30%と言われており、細菌ではA群β溶連菌が多いとされています。
A群β溶連菌の検出されない軽症例では、消炎薬などの対症療法が推奨され、中等症例以上の重症の方に対して初めて、抗菌薬の投与が推奨されています。抗菌薬適正使用の観点からも、当院では厚生労働省の指針に沿って治療を行ってまいります。

そのようなときは、細菌に効き目のある抗生剤、痛みや発熱に用いる消炎鎮痛薬などで治療します。

喉頭炎

急性喉頭炎は、喉頭粘膜に急性の炎症が起こっている状態です。原因はウイルス感染が主体であり、風邪症候群として、鼻炎・咽頭炎・気管支炎を伴うことが多いとされています。
症状としては、のどの痛み、声枯れ、咳、痰などの症状が現れます。
水や食物などを飲みこむときに強い痛みが出ることもあります。
また、慢性の経過をたどるものとしては、声の酷使、喫煙、逆流性食道炎、粉塵なども原因となることがあります。
治療に関しては、消炎などの対症療法の他、ネブライザー治療、抗菌薬、さらにステロイドの吸入治療なども行われます。
重症化しているときは、外科的処置が必要になることもあります。

アデノイド増殖症

鼻のいちばん奥に位置する咽頭扁桃のことを「アデノイド」と呼んでいます。
この部位は2歳頃から徐々に増大し、6歳頃にピークをむかえ、その後は小さくなっていきます。
アデノイドが増殖し肥大化してしまうと、上咽頭が腫れてしまい、鼻腔と中耳内との換気障害を起こし、滲出性中耳炎を引き起こしたり、鼻副鼻腔炎を生じやすくなります。
また、アデノイドが肥大化しているお子さんは、口蓋扁桃も大きいことが多く、夜間に呼吸が一時的に止まったりするようになります(睡眠時無呼吸)。
とくに症状がひどくなければ、しばらく様子をみますが、肥大化による症状が常態化していたり、合併症が起きたりしているときは、アデノイドを切除する手術療法などを行います。

咽頭癌

咽頭癌には、上咽頭癌、中咽頭癌、下咽頭癌があります。

上咽頭癌について

上咽頭癌は、鼻の奥のつきあたり付近(上咽頭)にできる癌です。
上咽頭は、普段の診察では観察する機会が少ない場所のため、見逃されることも多いと言われています。鼻や耳と交通している部位なので、鼻出血や耳閉感、難聴といった症状が起こりやすくなります。上記症状が持続する場合は、ご相談下さい。

中咽頭癌について

中咽頭癌は、口を開けた時にみえる中咽頭に発生します。
主な症状は、のどの痛み、飲み込みにくさ、首のしこり、のどの違和感などです。
中咽頭癌はヒトパピローマウイルス(以下、HPV)の感染により発生するHPV関連するものと飲酒・喫煙に関連するものの2つに分けられます。HPVは子宮頸癌の原因となる高リスク型(タイプ16,18ほか)と尖圭コンジローマなどの原因とされている低リスク型(タイプ6,11ほか)に分類されます。中咽頭癌の原因となるのは高リスク型HPVであり、そのほとんどはタイプ16です。
HPV関連の中咽頭癌は、比較的若年例で発症することが多いと言われていますので、お酒やたばこをやらない方でも注意が必要です。

下咽頭癌について

下咽頭癌は、咽頭の最も下の部位、食道の入口辺りに発症する癌です。
発癌には長年の飲酒、喫煙が大きく関わっているとされています。
主な症状は、のどの違和感、のどの痛み、首のしこり、声のかすれです。
下咽頭は食道の入口でもあるので、癌の進行によって食物などが飲み込みにくくなる症状も出現します。
近年は、内視鏡技術の発展により早期に発見されるケースも増えてきています。

喉頭癌

喉頭は、のどぼとけ付近にある器官で、気管と咽頭をつないでいます。
この部位に癌ができると、なかなか治らない声がれ(嗄声)、血痰などの症状が生じます。
声帯ポリープなどでも嗄声はみられることがありますが、声の質からだけでは診断に至らないため、内視鏡での診察が必要となります。
下咽頭癌同様に、長年にわたる飲酒、喫煙が発癌に大きく関与しています。

味覚障害

味覚障害は、食べ物の本来の味が分からなくなったり、味覚が鈍磨したり、本来の味とは違った味を感じたりする疾患です。
甘味や酸味、塩味、苦味、旨味などの味覚が低下したり、何を食べても味を感じなくなったりするので、日常生活の質(QOL)が低下します。
なお、味覚障害は亜鉛の不足によって起こることが多いと言われていますが、何らかの病気によって引き起こされているケースもあります。
薬剤性(抗うつ薬、睡眠薬など)、口腔乾燥症(ドライマウス)、貧血、消化器疾患(食欲低下、腹痛、下痢)、糖尿病、肝疾患による低亜鉛血症、腎障害(特に透析患者さん)などの可能性もあるので、きちんと医療機関を受診することが大切です。