睡眠時無呼吸症候群とは

睡眠時無呼吸症候群のイメージ画像

睡眠時無呼吸症候群(SAS:sleep apnea syndrome)は閉塞性睡眠時無呼吸(OSA:obstructive sleep apnea)と中枢性睡眠時無呼吸の両者を含む概念ですが、その大半はOSAです。OSAは、上気道の狭窄・閉塞によって、睡眠時に呼吸が一時的に停止または、低呼吸になる疾患です。
男性は40歳代後半、女性は閉経後の50歳代前半が好発年齢であり、肥満の方、顎の小さい方に多いと言われています。
小児では、アデノイド肥大・口蓋扁桃肥大が主因になっていることが多いです。
努力呼吸が停止する中枢性無呼吸は、心不全・脳梗塞後に生じやすいと言われています。

いびきとは

いびきの明確な定義は存在しませんが、いびきは睡眠中の呼吸異常音です。
睡眠時無呼吸症候群(SAS)が提唱され、いびきはSASを疑う兆候の1つとして重要視されてきました。
無呼吸を伴ういびきは、無呼吸の治療をすることで改善・軽減する可能性があります。
無呼吸を伴わないいびきの場合は、上気道の狭窄によることが鯨飲となることが多いため、鼻腔・口腔・咽頭・喉頭の観察は大切です。
鼻閉が強い場合は、点鼻薬などを用いて鼻閉を改善することでいびきが軽減することもあります。臥位での舌根が落ち込み気道が狭くなっている場合では、マウスピースの効果が見込めます。

睡眠時無呼吸症候群の
検査法について

検査法は、視診や軟性ファイバースコープで口腔や鼻腔、咽頭を観察し、狭窄や主流性病変が無いかどうかを確認します。
小児では、アデノイド肥大・口蓋扁桃の大きさ、成人では舌扁桃や頸部脂肪による咽頭狭窄に注意します。
また、自覚的な眠気の強さを質問票(Epworth Sleepiness Scale:ESS)を用いて評価します。
無呼吸・低呼吸の程度を測定します。簡易検査は、外来で行うことが可能です。
重症度により、専門機関(虎の門病院など)へ紹介させて頂きます。

睡眠時無呼吸症候群の
治療について

治療は、持続的気道内陽圧呼吸(CPAP:continuous positive airway pressure)治療がスタンダードであり、無呼吸低呼吸指数(AHI:apnea hypopnea index)が20以上(簡易検査の場合は40以上)で適応となります。
CPAPを使用することで、睡眠時の無呼吸が改善し、睡眠の質の向上、日中の眠気などの症状が改善します。
また、軽症者では口腔装置(OA: oral appliance)治療で改善する場合もあります。
OSAで使用するマウスピースは十分に経験のある歯科で作成する必要があります。

早期の治療が重要

睡眠時無呼吸症候群は、睡眠中に障害が起こるため、自覚されていない患者さんもいらっしゃるようです。
しかし、重症睡眠時無呼吸症候群をきちんと治療しないで放置すると、心房細動、虚血性心疾患、脳卒中などの病気を引き起こす確率が大幅に上昇します。
さらに車を運転中に睡魔が襲ってきて、交通事故を引き起こす一因ともなります。
仕事や家事などにも悪影響が出るので放置することは禁物です。
ご家族などから睡眠中のいびきや呼吸の一時的な停止を指摘されたときは、お早めにご受診ください。

睡眠時無呼吸症候群の
主な症状

  • いびきがうるさい
  • 日中に眠気がある
  • 起床時に体が重い
  • 疲れが抜けない
  • 倦怠感がある
  • 熟睡感が得られない
  • 夜中に何度もトイレに行く
  • 集中力や記憶力が低下した など

睡眠時無呼吸症候群の
主な治療法

CPAP療法

CPAP療法は、鼻に装着したマスクから圧力を加えた空気を送り込むことによって、ある一定の圧力を気道にかけ、気道の閉塞を取り除いて無呼吸を防ぐ治療法です。
中等症から重症の患者さんの場合、この治療法が基本となります。
とても効果が高く、ほとんどの患者さんは、この治療を行った日から睡眠中の無呼吸状態が改善します。朝もすっきりと目覚め、昼間の眠気も軽くなります。

マウスピース

軽度の患者さんには、まずマウスピースによる治療を行います。
これを装着して寝ることにより、下顎が上顎よりも前に出るように固定されるので、気道を広く確保できます。
就寝中の顎の位置が補正されるので、いびきも改善する可能性があります。

外科的手術

外科的手術によってOSAを治療することもあります。
具体的には、アデノイド増殖症や扁桃肥大の小児患者さんが対象です。
気道を塞いでしまう部位を外科的に正常な状態に戻すことにより、症状の改善が期待できます。