みみについて
耳(みみ)は、「音を聴く」という重要な機能を担っています。
さらに体のバランスをとる半規管とも連結しているので、耳の病気に罹患すると、日常生活に様々な支障をきたします。
当院では、患者さんのお悩みに耳を傾け、外耳(耳の穴)、中耳(鼓膜の奥の小空間)、内耳(耳の一番内側にあたる部分)などの病気を診療いたします。
次のような耳の症状が現れたときは、お早めにご受診ください。
このような症状は
ご相談ください
- 耳が痛い
- 耳がかゆい
- 耳だれが出る
- 耳がつまった感じがする
- 耳垢が溜まっている
- 聞こえが悪い
- 耳鳴りがする
- めまいがする など
主なみみの疾患
以下に簡単ですが、主なみみの各疾患についてご説明していきます。
耳垢
耳垢(耳あか)は、外耳道の中にある耳垢腺・皮脂腺からの分泌物と表皮や埃などが混在して作られます。
この耳垢は、主に耳垢腺からの分泌量によって「ドライタイプ」と「ウェットタイプ」に分けられます。皮脂腺からの分泌量が少なければパサパサのドライタイプになりますし、多くなればベトベトのウェットタイプになります。ちなみに、日本人の多くはドライタイプと言われています。
耳垢と耳の詰まり
この耳垢は、自然に排出されることが多いのですが、ときには外耳道で詰まってしまい、閉塞状況となることがあります(耳垢栓塞)。
それによって、耳が詰まる、こもるといった症状が現れます。
とくにウェットタイプの患者さんは外耳道内に汚れが付着しやすく、そのまま固まって耳が詰まることがよくあります。
また、綿棒や耳かきで耳垢を書き出そうとして、逆に外耳道の奥へと押し込んでしまい、入浴時などに水が外耳道の奥へと浸入してしまい、耳垢塞栓になることもあります。
そのようなときは、耳鼻咽喉科で耳垢を除去します。
耳垢が固くなっている場合は、耳垢を柔らかくする液体を使用してから除去していきます。
大人の方でも外耳道が狭い方は、御自身での除去は困難なことが多いです。“よく耳がつまる”といったエピソードがおありの方は一度ご相談ください。
急性中耳炎
中耳炎には、急性中耳炎、滲出性中耳炎、慢性中耳炎、真珠腫性中耳炎などの種類がありますが、この中でもっとも一般的なのが「急性中耳炎」です。
この場合は中耳の部分に細菌やウイルスが入り込み、急性の炎症が生じて膿が溜まります。
とくに小さなお子さまに頻繁にみられます。
急性中耳炎の主な症状
急性中耳炎になると、ズキズキする激しい耳の痛み、発熱、耳だれ、耳がつまった感じ、などの症状が出現します。
乳幼児の場合、痛みを上手く伝えられないため、機嫌が悪くなってぐずったり、しきりと耳に手をやったりします。また、鼻炎症状が長引くときには気が付かないうちに中耳炎に罹患していることもあります。
急性中耳炎になってしまった場合は、炎症をやわらげる薬液を耳にたらしたり、抗生物質や消炎剤などを服用して治療します。軽症の場合は、抗菌薬を投与せず、自己の免疫で改善するのを期待する場合もあります(耐性菌のリスクを考慮して)。
炎症により鼓膜の腫れや痛みが強いときは、鼓膜を少しだけ切開し、溜まっている膿を排出します。
滲出性中耳炎
滲出性中耳炎は、中耳内に滲出液という液体成分が溜まっている状態です。
急性中耳炎を発症したお子さん、鼻炎症状があるお子さん、アデノイドが大きなお子さんに起こることが多いのですが、耳管機能の低下した高齢の患者さんもいらっしゃいます。
滲出性中耳炎の主な症状
主な症状は、耳がつまった感覚、周囲の音が聞こえにくいといったものです。
通常は、痛みや熱などの症状はありません。
そのため初期の段階では放置されている方も少なくないようです。
しかしながら放置が続けば聴力が悪化したり、真珠腫性中耳炎に移行することがあるので、注意が必要です。
治療は、一般的に鼻炎の治療を優先することが多いです。鼻炎を治療し、浸出液が自然に抜けてくるのを待ちます。1~3か月程度経過しても、改善しない場合は、鼓膜を切開し、浸出液を吸引除去したり、鼓膜にシリコン製のチューブを挿入し、浸出液が貯留しないようにする手術を行うこともあります。
慢性中耳炎
急性中耳炎の治療をきちんと受けなかったり、中耳の炎症を何度も繰り返したりすると、鼓膜に穴が開いてしまい、慢性中耳炎になることがあります。
鼓膜は再生力が強いので、穴が開いても多くの場合は自然に閉じていきます。
しかし、炎症が長く続いてしまうと穴が閉鎖しなくなってしまいます。
放置していると、難聴が持続したり、耳の奥に細菌が侵入しやすくなることで感染症を発症することもあります。
慢性中耳炎の主な症状
主な症状は、聴力の低下、耳漏、耳鳴り、めまいなどです。
治療法としては主に抗生物質や消炎剤などを使用します。
鼓膜に穴が開いてしまって、自己修復できなくなってしまった場合は、手術が必要となります。当院で行える場合もありますが、穴の大きさなどにより提携施設にご紹介する場合もあります。どういった治療がベストなのか、患者さん一人一人に合ったアドバイスをさせて頂きます。
真珠腫性中耳炎
真珠腫性中耳炎は、鼓膜表面の一部が裏側に入り込んでしまい、真珠腫と呼ばれる塊が作られてしまう病気です。
中耳の炎症が長引くと中耳の換気状態が悪くなり、乳突洞や上鼓室などの組織へと病気が広がっていき、さらに強い炎症や骨破壊などが起こります。
真珠腫性中耳炎の主な症状
主な症状は、耳だれ、難聴、耳鳴り、めまい、顔面神経麻痺などです。 あまり多くはありませんが、脳および髄膜にも問題が起こり、脳炎・髄膜炎によって危機的状況に陥ることもあります。
難聴(伝音難聴、感音難聴、混合性難聴)
難聴には、伝音難聴、感音難聴、混合性難聴などの種類があります。
伝音難聴
このうち伝音難聴は、主に外耳や中耳の問題によって引き起こされます。
周囲の音をうまく内耳に伝えることができないので、「大きい音ならば聞こえるけれど、通常の会話は上手く聞き取れない」、「耳がつまった感じがする」などの症状がみられます。
そのようなときは聴力検査などを行います。
治療は、疾患ごとに異なりますが、処置で済む場合、薬物療法を行う場合、患者さんによっては手術療法が必要になる場合もあります。
感音難聴
感音難聴は、内耳や聴神経の異常によって生じるタイプの難聴です。
様々な原因が考えられますが、大きく分けると、先天的要因と後天的要因があります。
このうち先天的な感音難聴となる原因は、遺伝性または胎児期における発達異常です。
後天性の感音難聴は、加齢やストレス、慢性的な騒音、外傷や炎症性疾患、腫瘍などで起こります。
急性の場合は薬物治療が中心になることが多く、加齢や慢性の場合は補聴器の使用を勧めます。また、高度の難聴の場合は人工内耳の装用などを検討することもあります。
なお、伝音難聴と感音難聴の両方を併せ持つケースは、「混合性難聴」と呼ばれます。
早期に治療を開始すれば、治る難聴も多いので、難聴を自覚された場合は速やかにご相談ください。
メニエール病
メニエール病外耳炎
外耳炎は、文字通り外耳に炎症が生じている状態です。
耳かきの際に外耳道の皮膚を傷つけてしまうと、その傷口から細菌や真菌が侵入してしまい、外耳道炎になることがよくあります。
なお、とくに思い当たる原因がないのに、外耳の炎症を繰り返しているときは、糖尿病などの免疫低下状態、真珠腫などが原因になっている可能性があるので、早期の治療をお勧めします。
外耳炎の主な症状
主な症状は、耳の痛みやかゆみ、耳のヒリヒリ感や灼熱感、外耳道からの異臭、耳垂れ、出血などです。
軽度であれば数日で自然に治ります。しかし、炎症がひどいケースの場合は、局所への点耳薬投与、軟膏塗布などを行います。
耳垢の項でも述べましたが、外耳道の大きさ(広さ)は個人差があり、患者さん一人一人に即した対処法をお伝えいたします。
耳鳴り
耳鳴りは、周囲に特段の音が鳴っていないのに、耳の中では様々な音が聞こえてしまっている状態です。
このような耳鳴りがどうして起こるのかについて、詳しい原因はよくわかっていません。
耳鳴りを訴える人の多くは、何らかの聴力障害を持っているケースが多いのですが、検査上は正常でも耳鳴りを訴えるケースもあります。
そのため、過労やストレス、心因的要因なども指摘されています。
耳鳴りの治療法
耳鳴りの主な治療には、原因療法、抑圧療法があります。
このうち原因療法は、耳鳴りの原因がはっきりしているときに行います。
中耳炎やメニエール病、突発性難聴が原因のときは、それぞれの治療を優先します。
抑圧療法には、抗不安薬、漢方薬用いた薬物治療や個人の聴力にあった雑音を聴取して耳鳴りを和らげる音響療法などがあります。
しかし、こうした病気を治療したとしても、耳鳴りが残ってしまうこともあります。